真っ白い子猫のぬいぐるみを抱えて、兄とも慕うその人はふにゃりと表情を綻ばせた。
気に入っているようだから、と土産に選んで大正解だ。
先程から抱き上げたり抱き締めたり頬摺りをしたりと忙しい。

「やっぱりキティちゃんは可愛いある……!」

ぬいぐるみをぎゅうっと抱き締めて、中国さんは目を輝かせた。
あまりに力を込めるものだから、ぬいぐるみの首がもげるのではないかと要らぬ心配をしてしまう。
先程から可愛い可愛いと繰り返す相手に、「随分とご執心ですね」と言えば、

「あたりまえある! キティちゃんほど可愛いものは他にないあるよ!」

日本にはそれがわからねーあるか? と返された。
確かに可愛らしいけれど、と胸の内でそっと呟く。
勿論、相手に悟られぬように「気に入って頂けて嬉しいです」と微笑みながら口にして。





子供のように喜んで下さる、あなたの方が可愛らしく思えるのです。
そう伝えたらこの人は、どんな顔をするのだろう。










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